授業力向上セミナー(令和3年2月)については開催する方向です

例年、第4回常任委員会に合わせて予定しております「授業力向上セミナー」につきましては、開催する方向で検討しております。講師・演題など詳細が定まり次第、案内の文書を送付いたします。(諸事情により中止の場合もあります。)

令和元年度 授業力向上セミナー
■令和元年度「授業力向上セミナー」①■
 令和元年7月10日(水)第2回常任委員会に引き続き、授業力向上セミナーが行われました。今回は田中淳一先生(埼玉県立大宮高等学校)による実践発表をお願いしました。平成30年度南部支部研究委員会では大学入学共通テストの方向性、今後の指導の在り方を検討してきました。各大学の新共通テストへの距離感が今一つはっきりしない状況下で、新テストに切り替わる学年の生徒は入試まであと1年半と、対応が待ったなしの状況です。「大学入学共通テストに向けて」と題し、これまで2回行われたプレテストの内容と検討を踏まえ、これらを基礎に大宮高校でオリジナル問題で実施された「1学年国語総合現代文分野後期プレ中間考査」と同テスト解説を題材に、興味深いお話をしていただきました。



 
■令和元年度「授業力向上セミナー」②■
 令和2年2月4日(水)第4回常任委員会に引き続き、授業力向上セミナーが行われました。今回は「主体的・対話的で深い学びの視点による授業改善」をテーマに、本年度中堅教員研修・5年次経験者研修を受けたお三方、藤井嘉子先生(埼玉県立蕨高等学校)長村佳子先生(埼玉県立久喜高等学校)大畠未来先生(埼玉県立秩父高等学校)による実践発表をお願いしました。
 藤井先生からは、生徒が○×(できたか・できなかったか)にこだわるわりに、根拠を持った読みに弱点を抱えているという問題意識から、読みを深めるためジグソー法の型を活用したとのお話でした。かつて勤務なさった大阪府では、指導教諭の先生にはアポさえとればいつでも授業を見せてもらえる制度があるとのことで、近隣高校にすばらしい授業をなさる先生がいらっしゃり、何度も参観をお願いした経験が下敷きになっているとのこと。埼玉では大宮高校の畑文子先生がジグソーに取り組んでおり、これらカリスマ授業を生徒に合わせてアレンジしたところ手応えがあったとのことでした。センター試験演習をジグソーで行うと、結果として生徒たちが「問題の解説」をつくるようになり教材づくりを「さぼれる」域に達したとのこと。会場からは「授業規律をどのようにつくるのか」との質問があり、机上に授業と関係ないものは一切置かせない、授業と関係ない不規則発言は認めないなど連休までの1ヶ月で学習空間を作るのに力を入れるとのこと。
 長村先生からは、本校は推薦入学の比率が高いことから、進路が決定するとモチベーションが低下してしまう傾向があり、「古典研究」4単位を担当するも、文法中心に解釈しても生徒のやる気が持たないという思いから、様々な時代やジャンルの文章を比較する授業を構想したとのことでした。漢文の「杜子春伝」と芥川龍之介「杜子春」を読み比べるという授業を構想しました。教科書にも「読み比べ感じたことや考えたことを800字程度でまとめる」という設問がありますが、そのままでは使いにくいため、一部のあらすじを示すものの、その後については「原文でお楽しみください!」としました。各グループで改変部分を指摘しその理由を考察させ作品主題に迫ろうとする試みです。授業でつけたい力を考え、個から全体、そして個に返すうちに考えが深まっていくことが生徒にも実感されていることが、示された生徒の感想コメントからもうかがえました。
 大畠先生からは、国語表現の難しさは評価の難しさだという問題意識から教員との一対一指導で添削では身につけるのが難しい力を伸ばす実践として自己評価させる取り組みが紹介されました。日頃から帯単元として「統計を疑うクイズ」などを取り入れ、例えば、成績と足のサイズとの相関を示し「足のサイズが大きい人は成績がよい」という論理のおかしさに気づかせるなど陥りやすい読みのトラップにも目を配っています。自己評価と相互評価を行わせたうえで書き直し、教員が添削をします。生徒による内容への言及は難しいのではと感じていたところ、相互評価後に「改めて内容を変えて書きたい」という生徒が現れたり、相互評価の時間に欠席する生徒がいなくなったなどの成果がありました。逆に、誰(読み手)に向けて書いた小論文なのかがややぼやけてしまったことが課題とのことでした。
 松下指導主事からはまとめとして、育成したい力を段階を追って国語科としてのカリキュラムマネジメントを行っていくこと、学習活動としての言語活動を大切にすること、例えば、「羅生門」を読んで話し合いをすることが「話すこと」と考える向きがあるが、読みを深めるための話し合いである以上、話し合いのスタイルをとっていてもこれは読むことの指導であること、ことばに着目し、自覚的になること、とのお言葉をいただきました。
 お三方の先生には興味深い実践報告をしていただきありがとうございました。